1. ACCAとはどんな資格?
ACCA(the Association of Chartered Certified Accountants)は、イギリスで1904年に設立(1974年勅許付与)された職業会計専門家団体で、現在では世界181か国に200,000人以上の会員と約480,000人の学生がいる非常に大きな職業会計専門家団体です。
日本での日本公認会計士協会のように権威ある資格を提供している組織で、ACCAは「イギリス勅許公認会計士資格」を提供しています。
一般的に、イギリス勅許公認会計士資格はCCA(Chartered Certified Accountants)と呼ばれたり、ACCAとそのまま呼ばれたりしています。このサイトでも、「ACCA=イギリス勅許公認会計士資格」という意味で使っています。
ACCAがなぜ世界で使われているのか
ACCAは、イギリス国内で勅許会計士に独占されていた会計業務の開放や、より様々なバックグラウンドを持つ個人を柔軟に受け入れることで、社会のニーズに沿った会計士の育成を目指し設立されました。 また、国際会計基準(IASやIFRS)に基づく資格でもあり、イギリス国内の資格というよりは「世界で使われる資格」を目指しています。
そのような背景から、監査をするだけの会計士資格ではなく、世界中の様々な業種、職種、年齢の人に役立つ資格として認知されています。さらにACCAは、会計士資格を取得する過程だけではなく、その取得後にも様々な優れた学習の場を提供しています。例えば、ACCAを取得後にMBAを取得することができます。(詳しくはこちらの記事を参照してください。)
ACCAを勉強することによって、その資格のステータスを得るという短期的目的と同時に、一人の真のビジネスマンとして生涯活躍できるという長期的な目的を達成することができます。
また、ACCAはその目的から資格の学習プロセスに重きを置いており、ACCA取得プログラムへの入学に必要な教育要件も比較的低く、東南アジアや中東を中心に受験者数が増加しています。
2. ACCAは働きながら合格できる資格
多くの日本人にとって、ACCA資格は馴染みがありません。特に忙しいビジネスマンにとっては、USCPAの方が情報が取得しやすかったり勉強を始めやすいので、使いづらそうなACCA資格は敬遠されがちです。
しかし実際は、ACCAこそ忙しいビジネスマンにこそ適している資格なんです。
ACCAの資格の考え方
ACCAの資格制度は、取得までの勉強過程や取得後のステップアップを重要視している資格ですので、「試験自体が難しすぎて、受験者のほとんどが合格できない」日本の資格試験制度とは異なります。
これはアメリカの会計士資格(USCPA)と似ていて、試験の合格率が比較的高いのが特徴です。
ACCA試験の合格率
ACCAが提供する幅広い階層化された知識
USCPAとの大きな違いは、その科目数にあります。USCPAの受験科目数は4科目のみに対し、ACCAでは13科目(旧14科目)に合格しなければなりません。ACCA試験の概要はこちらのページを参照してください。
しかし、13科目全てが難しい科目では全くありません。むしろ大半の科目は、仕事の合間に半年間勉強すれば合格できてしまいます。なぜならACCAでは、同じような内容が複数の科目に重複して出題されており、全ての受験生が一歩一歩確実に知識を習得できるように階層化されているのです。
例えば、ACCAの基礎科目であるFA(旧F3) Financial Accounting とFR(旧F7)Financial Reporting、そして専門科目のSBR(旧P2) Strategic Business Reportingは内容が多く被っており、FAが基礎、FRが応用、SBRが発展、というようなイメージです。
なので、USCPAのように「運が良ければ最短1年で資格が取れる」というようなスピード間はなく、日本公認会計士のように「1科目の試験に合格することが難関」ということもありません。
ACCAは、幅広い階層化された知識を一つずつ習得しながら、その延長線上で会計士資格が必然と取れるのです。
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もっとACCAに関する知識を深めるために、参考になるページを以下にご紹介します。
3. グローバルに活躍できる資格
ACCAを勉強する環境は、残念ながら日本ではあまり整っていません。
しかし、国際会計基準を適用しようとする動きは年々高まってきています。例えば、金融庁は日本の会計基準の品質を向上させるために、IFRSの任意適用企業の拡大促進を図る取り組みや国際会計人材の育成を目材していますし、あずさ監査法人が行ったアンケートによれば約8割の企業がIFRS対応の適用検討を進めていることがわかっています。
さらに、アメリカでさえも米国会計基準とIFRSのコンバージェンスを進めていることなどから、USCPAではなくACCAを勉強し、国際会計基準をベースとした会計知識を習得することこそ国際化の時代の流れに乗ることであると言えます。
更に、ACCA資格を取得することで他国の公認会計士としても働くことができます。詳しくはこちらの記事で解説をしています。
日本での受験が可能
ACCAの受験は、一部の科目に限り、日本(東京)でも可能です。しかし、試験への申し込みはACCAに直接行わないといけませんし、ACCAのホームページや申し込みも全て英語なので、0からACCAの勉強するためには別のルートをこのサイトではオススメしています。
日本以外では、アジアのほとんどの地域で受験が可能です。例えば、日本から直行便のある香港、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、カンボジアなどが受験地として考えられるでしょう。ACCAは世界各地で受験できるよう、受験地のグローバル化も進んでいます。
世界がIFRSを会計基準として適用しつつある
IFRS財団は、IFRS適用状況の調査を行い、調査対象150カ国中126カ国がIFRSを企業に適用を要求(require)しており、その他12カ国が企業の適用を容認(permit)していると発表しました。つまり、計138カ国がIFRSを自国の会計基準として受け入れているのです。もちろんここにはアメリカや日本は含まれていません。
しかし、日本でも2014年の「『日本再興戦略』改訂2014」を皮切りに、IFRSの適用を進める企業が国内でも急激に増加しています。金融庁の発表によりますと、IFRS任意適用・適用予定企業数は、2013年12月末に25社だったのが、2016年12月末には133社と約5倍も増加していることが伺え、今後さらに国際会計基準の知識が必要とされます。
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